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【スーパーマーケット業】小売・流通分野の経営指標:必須リストと活用法

こんにちは KOUです!

店長は店舗を成功に導くために、数字について深く知ることが必要です。その中で、経営指標(KPI)の理解と活用は不可欠です。

どの数値に注力し、どのような目標を達成したいかを明確にすることが重要です。

私自身も初めて店長をしたころは、日々のタスクに追われ店を回すことだけで精一杯になり、必要な数字も理解できず、何を改善すれば良いのかわかりませんでした。

私自身も指標の重要性を学んでから、店舗や組織の行動を数値でまとめ、業績改善にも寄与しました。

数字を軸に置くことは極めて重要です。店長が正しい指標を持てずにいると、何を根拠に行動や指示をすれば良いかわからず、やはり統率をとることが難しくなってしまうからです。

本記事では、新任店長や悩んでいる店長が、店舗を成功に導くために不可欠な経営指標の必須リストと、具体的な活用法を考えていきましょう。

1. 損益計算書(P/L)の基礎

損益計算書(P/L)とは?

損益計算書は、英語で「Profit and Loss Statement」というため、略して「P/L(ピーエル)」とも呼ばれます。これは、企業のある「一定期間」の経営成績(儲けの状況)を示す成績表や健康診断のように例えられます。

  • 目的:企業がその期間に、どれだけの収益(売上)を上げ、どれだけの費用(コスト)を使い、結果としてどれだけの利益(儲け)が出たのかを明確にすること。
  • 期間:通常は1事業年度(1年間)を対象とします。(ただし、四半期ごとにも作成されます。

損益計算書の3つの主要な要素

損益計算書は、「収益」「費用」「利益」の3つの要素で構成されており、「収益 − 費用 = 利益」という構造になっています。

  • 収益(Revenue):会社が稼いだお金(例:売上高)

  • 費用(Expense):収益を上げるために使ったお金(例:仕入れ費用、人件費)

  • 利益(Profit):収益から費用を差し引いた、会社に残ったお金(儲け)

損益計算書で見る「5つの利益」

損益計算書の特徴は、利益を「本業の儲け」「通常の活動による儲け」「最終的な儲け」など、5つの段階に分けて表示することです。これにより、どこでどれだけ儲かっているのか(または損しているのか)を詳細に把握できます。

利益の種類
計算式
意味
1. 売上総利益 (粗利)
売上高-売上原価
商品・サービスそのものから得た利益
2. 営業利益
売上総利益-販売費・一般管理費
本業で稼いだ利益。最も重要視される利益の一つ
3. 経常利益
営業利益+営業外収益-営業外費用
本業と通常の活動を含めた利益
4. 税引前当期純利益
経常利益+特別利益-特別損失
すべての活動(通常と臨時)から得られた利益(税金を引く前)
5. 当期純利益
税引前当期純利益法人税等
最終的に会社の手元に残る利益(損失)

これらの5つの利益を見ることで、「本業で儲けているのか」「本業以外で儲けを補っているのか」などが分析できます。


2. 人時生産性・労働分配率(労働効率)

投入した労働力(時間)に対して、どれだけの売上や利益を生み出しているかを測る指標です。

人時生産性

人時生産性とは、「従業員1人が1時間働くことで、どれだけの粗利益(付加価値)を生み出したか」を示す指標です。

  • 意味:投入した労働力(人件費)に対して、どれだけの成果(利益)が得られているかを評価します。

  • 計算式:人時生産性 =(粗利益高(売上総利益)) ÷ (総労働時間(総人時))
  • 計算例:粗利益高 300,000円 ÷ 総労働時間 150時間 = 2,000円/人時。

  • 小売業の目安:スーパーマーケットでは、約 3,000円前後が平均目安とされる傾向にあります。

人時売上高(労働生産性)

人時売上高は、従業員1人が1時間働くことでどれだけの売上を達成したかを見るため、客数と客単価が重要になります。

  • 計算式:人時売上高 =(売上高) ÷ (総労働時間)
  • 意味合い:「従業員全員の労働時間1時間あたりで、いくらの売上を稼いだか」という意味です。

  • スーパーマーケット業界の目安:5,000円〜7,000円程度とされています。

労働分配率

これは、企業が生み出した付加価値(粗利益)のうち、どれくらいの割合を人件費として従業員に支払っているかを示す指標です。

  • 計算式:労働分配率 =(人件費総額) ÷ (粗利益高)× 100
  • 小売業の目安:35%〜50%程度が一般的な範囲とされます。


3. 在庫効率とロス(商品・資産の効率)

商品という資産をいかに効率よく販売し、利益を上げているか、また、どれだけロスを抑えられているかを測る指標です。

商品回転率

商品回転率は、「在庫がどれだけ速く売れて、新しい商品と入れ替わっているか」を示す回数です。

  • 目的:資金が商品在庫として滞留していないか(在庫の鮮度)をチェックし、在庫を持つことの効率性を評価します。

  • 金額ベースでの計算:商品回転率(回)=(期間の売上原価)÷ (期間の平均在庫金額)
  • 売上原価の計算式:売上原価=期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 – 期末商品棚卸高

在庫日数

在庫が仕入れられてから売れるまでに、平均して何日間倉庫や店舗に留まっているかを示す指標です。

  • 目的:在庫の鮮度や、資金効率の良し悪しを判断します。

  • 計算式:在庫日数(日) =(365 日) ÷ (商品回転率(回/年))

交差比率

交差比率は、投入した「在庫(商品)」という資産に対して、どれだけ「粗利益」を稼げたかを測る指標です。

  • 計算式:交差比率=粗利益率 × 商品回転率
  • 意味合い:商品回転率(早く売る)と粗利益率(高く売る)の両方を同時に評価できる点が優れています。

不明ロス

不明ロスは、帳簿上の在庫数と、実際に棚卸しをした際の在庫数との間に生じた差額や差分のうち、原因が特定できないものを指します。

  1. 主な原因:外部からの盗難 (万引き)、内部からの不正(従業員)、管理・事務的なミス(入力・計上・伝票処理の誤り)

  2. 業界水準:スーパーマーケットの平均ロス率(対売上高)は約 1.0% 〜 2.0%程度です。


4. 販売・顧客行動指標

客単価や来店頻度といった売上構成要素や、顧客の行動パターンを分析するための指標です。

小売・流通分野における「PI値」(Purchase Index)

PI値は「パーチェス・インデックス(Purchase Index)」の略で、日本語では「購買指数」と訳されます。

  • 定義:一般的に、一定期間におけるレジ通過客1,000人当たりの購買指数を指します。その商品が、来店客のうちどの程度の割合で購入されているかを示す指標です。お客様の支持度とも言えます。

  • 計算式:PI値=(販売数量(または金額))÷(レジ通過客数)×1,000
  • 単位について:通常は販売個数を用いて計算し、数量PIとして使われます。販売金額を用いる場合は金額PI、粗利を用いる場合は粗利PIと呼ばれることもあります。

  • PI値の活用例:PI値を活用することで、店舗規模や曜日などによる来店客数の変動に影響されずに、商品の売れ行きを客観的に比較・評価できます。

【例】

レジ通過客2,000人のうち、ある牛乳を購入した本数が50本だった場合

PI値=(50本)÷(2,000人)×1,000=25

この場合、PI値は「25」となり、レジ通過客1,000人あたり25本がその牛乳を購入した、すなわち来店客の2.5%が購入したことを意味します。

意味
レジ通過客1,000人あたりの、
ある特定の商品(またはカテゴリ)の販売数量や販売金額を示す指数
計算式
PI値=(販売数量(または金額))÷(レジ通貨客数)×1,000

1人当たりの買い上げ点数

1人当たりの買い上げ点数は、UPT(ユー・ピー・ティー)とも呼ばれ、「お客様一人あたりの一回の買い物で、平均して何個の商品を購入したか」を示す指標です。

  • 目的:顧客が「ついで買い」や「まとめ買い」をしているかを分析し、店舗のマーチャンダイジングの適切さを評価します。

  • 計算式:1人当たりの買い上げ点数(UPT)=(総販売点数(販売個数の合計)) ÷ (総客数)

来店頻度

来店頻度とは、一定期間(例:1ヶ月、1年間)の間に、顧客(または平均的な顧客)が店舗に訪れて買い物をする回数を示す指標です。

  • 計算式:平均来店頻度 =(客数)÷(顧客数)

ID客数(ID-POS客数)

ID客数とは、「ID付きの顧客」が「レジを通過した数」を指し、一般的にポイントカードや会員カードを提示した顧客の数を意味します。

  • メリット:「誰が、いつ、何を、どれだけ買ったのか」という個人単位の購買履歴を把握でき、ロイヤルティ(忠誠度)の把握や販促効果の測定に活用されます。

  • データ活用例:バスケット分析(併買傾向の把握)、RFM分析(顧客のランク付け)、離脱防止策(休眠顧客へのアプローチ)


まとめ:小売業の主要経営指標(KPI)

1.収益と利益の構造(P/L)

企業の成績表である損益計算書(P/L)では、「収益 − 費用 = 利益」という構造の中で、5つの利益を段階的に見て、どこで儲けが出ているかを分析します。

  • 売上総利益(粗利):商品そのものの付加価値

  • 営業利益:企業の本業で稼いだ利益

  • 経常利益:本業と通常の営業外活動を含めた利益

  • 税引前当期純利益:経常利益に、臨時の収益・費用(固定資産売却益など)を加減した利益

  • 当期純利益:最終的に会社に残る儲け(税金控除後)

2.人と労働の効率

投入した労働力(時間)に対し、どれだけの成果が出ているかを測ります。

指標名
測るもの
計算式
人時生産性
利益効率
粗利益高 ÷ 総労働時間
人時売上高
販売効率
売上高 ÷ 総労働時間
労働分配率
付加価値の分配率
人件費総額 ÷ 粗利益高

3.在庫と資産の効率

商品という資産をどれだけ効率よく現金化し、利益を生んでいるかを測ります。

指標名
測るもの
計算式
目的
商品回転率
在庫の入れ替わり速度
商品回転率(回)= 
(期間の売上原価)÷(期間の平均在庫金額)
在庫の鮮度と資金の効率性を確認
在庫日数
在庫が売れるまでの日数
在庫日数(日)= 
(365 日) ÷ (商品回転率(回/年))
短いほど資金効率が良い
交差比率 (GMROI)
在庫投資に対する総合収益性
交差比率=
粗利益率 × 商品回転率
利益率と回転率の両方を評価する最重要指標の一つ
不明ロス
原因不明の在庫減少(万引き・不正など)
ロス率= 
(不明ロス金額)÷(売上高)× 100
ロス率を把握し、管理体制を強化する

4.販売と顧客の行動指標

売上構成要素と顧客の来店パターンを分析します。

指標名
測るもの
計算式
活用目的
PI値
商品の支持率
(販売数量÷レジ通過客数)×1,000
商品の人気度や
特売効果を評価
UPT
1人あたりの買い上げ点数
総販売点数÷総レシート枚数
関連購買の促進効果を測る
来店頻度
顧客の愛着度
客数 ÷ 顧客数
リピート客の定着度合いを測る
ID客数
会員(ロイヤル顧客)の人数
会員カードを提示した顧客の人数
誰が、いつ、何を買ったかを分析し、販促に活用

これらの指標は、店舗の「健康診断書」です。数字を読み解き、どこに課題があり、どこに成長の種があるのかを常に把握することで、確かな戦略と具体的な行動につながります。

ぜひ、これらのKPIを駆使し、お店の成長を加速させてください!

売上・利益店長になったら
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